うさぎや晶子です。
10月のテーマ「子どもの心を育てる絵本」の最後のコラムになります。
今回は、絵本に温かい思い出がいっぱいだった真理子さんと、絵本との縁は大人になってからという私で、異なる切り口でのコラム展開となりました。
そして、本当に小さい頃の私は絵本とは縁が薄かったのか・・・ 遠い記憶をたどってみました。
すると、1冊の絵本を思い出すことができました。
加古里子さんの「だるまちゃんとかみなりちゃん」の絵本です。息長く読まれている絵本の1つなのではないでしょうか?
私の場合は、本で家がつぶれてしまうかもしれないほど、本好きな叔父の家にいくと、絵本が大概そろっていて、そこで、この絵本に出会いました。 空色が背景に笑うかみなりちゃんとだるまちゃんがとても印象的でした。
そして何と言っても、加古さんの絵本の特徴でもありますが、細部まで丁寧に描かれた描写が子ども心をくすぐってくれたのだと思います。
私はこのテーブルにいっぱいのご馳走が並んだページが大好きで、長い時間眺めていました。テーブルウェアのあちらこちらにかみなりの角がモチーフとなっているのを見つけるのが楽しかったのです。
絵本は想像の世界を広げてくれるツールの1つであると思っていますが、この絵本では、小さい私はお盆や年始になると大家族が集まる祖母の家の様子そのものを見ていた気がしています。
7人兄弟の母の実家では、専業農家を1人で切り盛りしていた、世話好きな祖母が住んでいて、季節行事となると、親戚が家族連れで訪れ、食事の時にはテーブルではなく、ちゃぶ台でしたが、この絵のように、叔母たちが作ってくれたたくさんのご馳走が所せましと並んでいたのでした。
絵本の世界は想像の世界ですが、私にとっては、そこにある世界を見ていたという発見は新鮮に感じられました。
でも、考えてみると、絵本作家さんたちも、現実の世界の中にその題材を見つけてテーマにしていることも多く、時にとてもミクロに、時にとてもマクロに、一般的な視点とは異なる描写をすることで、読まれる絵本になっていくのかもしれないなと思いました。
今回のコラムをきっかけに、しばらく離れてしまっていた絵本や、そこにまつわるエピソードとまた再会することとなり、大きくなってしまった子ども達とも会話をもつきっかけも頂き、楽しい時間を作ることができました。
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