こんにちは!響き合う子育てラボの桧田真理子です。
ラボでは、それぞれが持つ能力や個性が十分に発揮されるために、大人のあり方を探求し伝えていきたいと思いながら、活動を続けています。
その前提として、大人も子どもも「いのちの力」を十分に持っているという実感があります。
あまりにも当たり前のように、私たちはいのちの力を持っていると考えているけど、今日改めて「なぜそんな風に思うようになったんだろう」という私なりのストーリーを振り返ってみようと思います。
細い記憶の糸を手繰り寄せていくと、おそらくその原体験は、たった一回のお産だったように思います。今から12年ほど前、思わぬタイミングで妊娠した私は、一体お産とはどういうものなのか、全く知識のないままに、漠然とした不安を抱えていました。
つわりも落ち着いて、いろんな人と会いはじめると、会社の上司や、仕事つながりで知り合ったばかりの人、年上の友人から、「自然分娩って知ってる?吉村医院っていう産院知ってる?」と、何度も何度も話題にされました。ドキュメンタリー映画に誘われたり、本を頂いたり、てんこ盛り状態。。きっと、これも縁ですね。
そうして調べていけばいくほど、自然なお産に心惹かれるようになりました。最後は、「お産は、そんなに何回もない経験なんだから、自分が一番してみたい道を選んだ方がいいよ」という先輩のアドバイスに心が決まり、吉村医院という自然分娩を行なっている産院でお産をすることにしたのでした。
早速、吉村医院の先生のアドバイスに従って、食事を和食中心に変えたり、毎日スクワットをしたり、散歩をしたりして、体を整えていきました。時に、暴食がバレてお説教されたこともありましたが、予定日が近く頃には、「安産できるでしょう」と合格印をもらうことができました。「何でわかるんだろう」と不思議でしたが、お産が近づくと産道が熟した柿のように柔らかくなるのだそうですよ。
予定日もちょうど1週間過ぎた早朝にお産が始まりました。
「お産は待つことよ」
「まだまだ生まれないと思っているぐらいがちょうどいい」
という先輩ママからのアドバイスは最高でした。余計な力が掛からなかったし、開き直ってリラックスするように、心がけることができたからです。
もちろん、「マジですか!?」というびっくりするような痛みが走りますが、その痛みを吹き消すようなイメージでひたすら呼吸を吐くことに意識を向けていました。
薄暗い畳の部屋で、目を閉じ吐く息に意識を向けていると、次第に、まるで広い草原に横たわる雌ライオンにでもなったかのような気持ちになりました。「あ〜動物とおんなじ何だな〜」と、その時、実感したことを覚えています。
最後には、まるで単なる筒になったかのような感覚になりました。自分は、息を吐いているだけ、どこにも力をかけていないはずなのだけれど、一体どこから起こるのだろうというほどに、ものすごく力強いエネルギーが身体中にかかるのです。これには、驚きました。それは、「赤ちゃんが生まれ出ようとするいのちの力そのもの」だったのだと思います。
私はただただ、その力に身を任せているだけでした。
そうしてお産が無事に終わると、私の心の中に理屈ではなく「子どもの持っている力を自然なままに大切に伸ばしたい」というような感覚がひょこりと芽生えていました。身体中で感じた生まれ出ようとするいのちの力のエネルギーはそれほどまでに力強く、私の人生観そのものを根底から変えてしまうものだったのかもしれません。
あの時のぼんやりとした感覚、心の中で小さく芽生えた意識が、今の活動へとつながっていることは間違いないだろうと思います。自分でも気づかないほどに微かな始まりの瞬間でした。
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